50:障害分類

世界保健機関(WHO)が,病因論的な枠組みに立って健康状態(病気[疾病],変調,傷害など)を国際的に分類したものが,ICD(International Statistical Classificat...

51:心理社会的な支援法

複数の支援法のうち,どの方法を支援に取り込むかは要支援者・環境のアセスメントの結果および支援の目的に基づいて選択しなければならない。ここでは発達障害児者に対する代表的な支援法である認知行動療法,応用...

52:心理社会的課題

障害者権利条約の批准と障害者差別解消法(2016[平成28]年)の制定をうけ,障害を理由とする社会的障壁の除去と合理的配慮が求められるようになった。個人の能力・障害とその環境を鑑みて,ノートテイクや...

53:情報の把握と手法

心理アセスメント 心理アセスメントとは,何らかの心理支援が必要とされる可能性のある対象(クライエント)に対して,必要と考えられる情報を心理学的方法によって収集し,心理学的側面から見立て,援助の...

54:関与しながらの観察

関与しながらの観察はそもそもは心理療法における心理療法家に求められる役割,活動のことである。精神医学における対人関係の重要性を主張した新フロイト派のサリヴァンSullivan, H. S. が提唱し...

55:自然観察法,実験観察法

観察法は,対象の行動,姿勢やその周辺の状況,文脈などをよく見ることによって対象の情報を集めたり,対象を理解したりする心理アセスメントの一種である。研究手法として用いられることも多い。観察法には,自然...

56:質問紙法・作業検査法・その他

質問紙法は,クライエントが質問紙の質問に回答することによってパーソナリティ(性格)や特性,状態などを把握する心理検査である。長所は,実施や結果の整理が容易なこと,集団での実施が可能なこと,解釈に検査...

57:投映法(投影法)・描画法

投映法(投影法)は,パーソナリティ検査の1つであり非構造的な刺激や教示を提示し,その刺激にクライエントが自由に反応することで測定する。長所としては,より深い意識水準(前意識・無意識)を捉えることがで...

58:知能検査

心理検査法の内,知的能力を主として把握する方法として知能検査がある。知能検査には,大きく分けて知的能力を一つの統一的な能力(一般知能)として捉えるビネー式と能力をそれぞれ異なる能力(群因子)の総体と...

59:発達検査

発達検査は,心理アセスメントの方法論の一つである心理検査法の内,発達を主として把握する方法である。発達検査は,対象が主に乳幼児があることから,観察に重きが置かれていることが特徴であり,養育者への日常...

60:実施から解釈

心理検査の結果を分析・解釈する際は,いくつかのポイントがある。 1点目は,当然のことであるが,結果を分析する際は各検査のマニュアルに定められた方法に則ることである。そのためには,各心理検査の分...

61:適切な記録・報告

心理検査の記録は,検査者の回答を可能な限り正確に記すことが大前提である。それに加えて,検査前・検査中・検査後のクライエントの表情や言動も記録しておくべきである。このクライエントの表情や言動というのは...

62:精神力動的アプローチ

精神力動論とは精神分析の流れにある理論の総称であり,精神力動とは個人の心のなかに働いているさまざまな力の様相を指す。そうした力の相克から,パーソナリティや心理的問題を含めた当人の在りようを捉え,その...

63:行動論的アプローチ

1930年代にスキナーSkinner, B. F.は,行動に先行する明らかな原因が環境側に存在しない随意的な行動については,ワトソンWatson, J. B.が提唱した刺激と反応(S-R行動主義)だ...

64:人間性アプローチ

 人間性アプローチは人間性心理学の理論に基づくアプローチ法を指す。人間性心理学(ヒューマニスティック心理学)とは主体性・創造性・自己実現といった人間性の肯定的側面を重視した心理学の潮流で,...

65:グループ・アプローチとシステム論的アプローチ...

集団療法(グループ・アプローチ)は,「自己成長をめざす,あるいは問題・悩みをもつ複数の対象者に対し,一人または複数のグループ担当者が言語的コミュニケーション,活動,人間関係,集団内相互作用などを通し...

66:アウトリーチ

アウトリーチは英語のreach out(手を伸ばす)が語源で,支援者が必要に応じて「出向いていく」支援手法のことである。 もともとは福祉サービスの分野で「接近困難な人に対して,当事者から要請が...

67:支援方法の選択・調整

現在,心理支援の技法や理論は400近くあると言われているが,実際の心理支援では,要支援者の特性や状況に応じて,最も適切な支援方法を選択し,調整していく必要がある。適切な支援方法を選択する際,治療効果...

68:支援におけるコミュニケーション

要支援者との良好な人間関係を築くことは,支援を進めて行く際に基盤となる重要な事項である。カウンセリングにおけるクライエントとカウンセラーの信頼関係はラポールと呼ばれており,話しやすいあたたかな雰囲気...

69:心理療法およびカウンセリングの限界

心理療法やカウンセリングは万能ではなく限界がある。心理療法はさまざまな病理水準の人々に行われているが,それぞれのクライエントに対して,心理療法が適しているか,どの心理療法が適しているか等については十...

70:支援の倫理

個人情報の適切な取り扱いについては,2005年に全面施行された個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)に規定されており,第23条では情報の第三者への提供について本人の同意なしに行うことができない...

71:心の健康とは

生活習慣病とは,食事や運動,喫煙,飲酒,ストレスなどの生活習慣が深く関与し,発症の原因となる疾患の総称である。以前は,加齢に着目した「成人病」とよばれていたが,生活習慣の改善により疾病の発症,進行の...

72:ストレス症状と心身症

ストレスが引き起こす心身の状態として,心身症やうつ症状(→99),物質依存症(→75),燃え尽き症候群などがあげられる。 心身症とは,「身体疾患の中で,その発症や経過に心理社会的因子が密接に関...

73:予防の考え方

キャプランの三次元モデル(Caplan, 1964)によると,予防は,一次予防,二次予防,三次予防に分類され,①一次予防「疾病のない健康な人々を対象に,疾病の発生を未然に防ぎ,健康状態を促進するため...

74:先端医療の心理的課題と支援

先端医療によって新たな治療法が開発される一方で,治療法が確立していない希少な疾患でなおかつ長期に療養を必要とする難病や遺伝性疾患などがあり,治療法の選択をめぐる倫理的問題などのために患者の抱える葛藤...

75:公認心理師の保健活動

地域保健活動:地域における保健活動は地域保健法により都道府県・政令指定都市・中核市・その他政令で定める市・特別区に設置されている保健所と市町村が設置している市町村保健センターが担っている。保健所・地...

76:災害時の心理支援

大規模災害等が発生することにより起こりうる主な心理的問題として,①災害前から精神疾患等の心理的問題を抱えていた被災者が,災害によって生活環境が激変したり,これまでの定期的な治療を受けることが困難にな...

77:現代社会における心理福祉的問題

2017年時点で,日本の高齢化率(高齢人口の総人口に対する割合)は27.3%であり,50年後の2060年には39.9%となると見込まれている。一方,合計特殊出生率(一人の女性が15歳から49歳までに...

78:虐待と貧困

日本の子どもの相対的貧困率は,平成28年国民生活基礎調査によると13.9%であった。これは,日本の17歳以下の子どものおよそ約7人に1人が等価可処分所得の中央値の半分以下である相対的貧困に該当するこ...

79:子育て支援

児童虐待あるいは要支援家族への対応では,地域でのきめ細かな相談支援を通じた問題の早期発見・早期対応による発生予防が重要である。身近な母子保健や子育ての相談窓口としては,地域保健法によって市町村に保健...

80:愛着の問題

愛着をもとにした養育者との結びつきは,子どもの健全な心身の発達において土台の役割を果たす。安定した愛着は日常生活のなかで育まれるものであり,食事,睡眠,排泄,衣類の着脱といった基本的生活習慣とも密接...

81:障害児(者)への支援

我が国の障害児(者)への施策は,戦後の「措置制度」から,2003年に「支援費制度(障害のある人自身が,市区町村からの福祉サービスの支給決定を受け,サービスを受ける事業所を選択し,契約をする仕組み)」...

82:福祉現場のその他の心理的課題

PTSD(心的外傷後ストレス障害;Posttraumatic Stress Disorder)は,実際にまたは危うく死ぬ,重傷を負う,性的暴力を受ける出来事への曝露ののち,①侵入症状(出来事の苦痛な...

83:虐待のアセスメントと支援

虐待のアセスメント:児童虐待が疑われる児童を発見したものは,福祉事務所または児童相談所に通告しなければならない(児童福祉法第25条)とされている。通告があった後,児童相談所は,虐待の有無・程度により...

84:認知症のアセスメントと支援

超高齢社会の進展に伴い,認知症高齢者数も増加している。認知症に対する施策の一つとして厚生労働省は地域包括ケアシステム(→7)の構築を掲げている。地域包括ケアシステムでは,2025年を目途に,重度な要...

85:教育心理学の基礎知識

ここでは授業改善に役立つ教育心理学の知見を取り上げ解説する。例えば授業の終わりに,指導法A(学習内容を丁寧に振り返らせる)・指導法B(発展的な課題に取り組ませる)のどちらを行う方が効果的かは,その対...

86:適応不全

行動に関わる問題 不登校:不登校は文部科学省において,「何らかの心理的,情緒的,身体的あるいは社会的要因・背景により,登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席した...

87:スクールカウンセリング

スクールカウンセラーとは,心理の専門家として児童生徒へのカウンセリング,困難・ストレスへの対処方法に資する教育プログラムの実施を行うとともに,児童生徒への対応について教職員,保護者への専門的な助言や...

88:刑事事件への支援

裁判員裁判:裁判員裁判とは,2009年に開始された裁判員制度に基づき,市民が裁判員として参加して行われる裁判のことである。地方裁判所で行われる刑事裁判のうち,殺人・身代金目的誘拐など,重大な犯罪事件...

89:少年事件・家事事件

少年非行への支援 少年非行への支援の根拠となる法律は少年法である。少年法は,「少年の健全な育成を期し,非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに,少年の刑事事...

90:非行少年・犯罪者への支援

矯正施設では,非行少年や犯罪者の再犯防止や社会復帰の手助けになることを目指して,種々の心理支援をおこなっている。例えば,動機づけ面接法(William & Stephen, 2002)という...

91:非行・犯罪に関する精神病理

反抗挑戦性障害は,怒りっぽく,権威ある人物や大人と口論になり,挑発的な行動を持続させ,執拗に仕返しを繰り返す特徴のある障害である。特に,よく知っている大人や仲間との対人関係の中で示され,自らの行動を...

92:メンタルヘルス不調の支援

現在の労働環境においては,労働者のメンタルヘルス不調による個人の健康生活の阻害,職場における生産性の低下やコストの増加,労災補償のリスクなどの問題から,これへの対策が急務となっている。 メンタ...

93:多様性をもつ労働環境における支援

今日の労働環境では,少子高齢化の中で国際化・高度化・多様化する経済情勢に対応するために,多様な人材を多様な方法で活用するダイバーシティ・マネジメントが求められている。これと連動して個人や社会において...

94:組織論

組織とは企業,大学,病院,政府,労働組合など複数の人間が何らかの目標を共有し,その達成に向けて協働するシステムであり,組織の変化や行動のメカニズムを解明する学問は組織論と呼ばれる。バーナードBarn...