56:質問紙法・作業検査法・その他

56:質問紙法・作業検査法・その他

質問紙法は,クライエントが質問紙の質問に回答することによってパーソナリティ(性格)や特性,状態などを把握する心理検査である。長所は,実施や結果の整理が容易なこと,集団での実施が可能なこと,解釈に検査者の主観が入りにくいこと,統計的・客観的な指標が得られること等が挙げられる。短所は,クライエントが意識している範囲で回答する検査となるため,周囲からよく見られたいといった社会的望ましさが結果に反映されやすいこと,回答が言語理解力に依存すること等が挙げられる。質問紙法の代表的な検査としては,MMPI(ミネソタ多面的人格目録),Y-G(矢田部・ギルフォード性格検査),MAS(顕在性不安尺度),GHQ(精神健康調査票)などがある。

作業検査法とは,被検者が特定の作業を行うことによってパーソナリティ(性格)を含めた特性を把握する心理検査である。長所は,実施や結果の整理が容易なこと,集団での実施が可能なこと,クライエントによる結果の意図的な歪曲が困難なこと,言語での表現が困難なクライエントに対しても使用できる等である。短所は,検査に対するクライエントの意欲が結果に影響すること,作業が単調であり,クライエントによっては負荷となることなどが挙げられる。代表的な検査としては,内田クレペリン精神検査,ブルドン抹消検査などがある。適正検査とは,仕事や課題に適正があるかを把握する心理検査である。ここには職業関連の検査が分類されることが多く,回答方法は各検査によって異なる。代表的な検査としては,厚生労働省編GATB(一般職業適性検査),VPI職業興味検査などがある。

(田中あかり)

文  献
  • 松本真理子・森田美弥子(2018)心の専門家養成講座第3巻 心理アセスメント心理検査のミニマム・エッセンス.ナカニシヤ出版.
  • 上里一郎監修(2001)心理アセスメントハンドブック,第2版.西村書店.
  • 氏原寛・岡堂哲雄・亀口憲治・西村州衛男ほか編(2006)心理査定実践ハンドブック.創元社.

※用語の出典は,『公認心理師基礎用語集 よくわかる国試対策キーワード117』(2018年8月発売)となります。最新版(2022年5月発売)は⇩をご覧ください。

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