71:心の健康とは

71:心の健康とは

生活習慣病とは,食事や運動,喫煙,飲酒,ストレスなどの生活習慣が深く関与し,発症の原因となる疾患の総称である。以前は,加齢に着目した「成人病」とよばれていたが,生活習慣の改善により疾病の発症,進行の予防が可能であること,成人でなくても発症する可能性があることから,「生活習慣病(厚生省,1996)」と改称された。生活習慣病には,肥満症,糖尿病,高血圧症,高脂血症などがあり,内臓肥満に高血圧・高血糖・脂質代謝異常が組み合わさり,心疾患,脳血管障害などの動脈硬化性疾患をまねきやすい病態を特にメタボリック・シンドロームとよぶ。これらは,心疾患・脳血管疾患の危険因子であるが,自覚症状に乏しく日常生活に大きな支障がないため気づかれにくい。生活習慣の改善がなされない場合,重症化し生活機能低下・要介護状態へ進行していく。

このような健康を損なうリスクの高い生活習慣をもつ人には,持続的なストレスを経験している人が多く,生活習慣病の背景にストレスの影響が指摘されている(National Institute for Occupational Safety and Health, 1999)。また,生活習慣病は患者本人の治療や就業の問題だけでなく,家族の生活への影響,介助,介護問題とも強く関連する。このとことから,不適切な生活習慣の是正とともに,ライフサイクルの概念を包括したサポートが,身体的疾病の予防,心の健康増進には必要となる。

(石川佳奈

文  献
  • National Institute for Occupational Safety and Health(1999)Job stress and health. Stress at work. NIOSH Publication, No.99-101.

※用語の出典は,『公認心理師基礎用語集 よくわかる国試対策キーワード117』(2018年8月発売)となります。最新版(2022年5月発売)は⇩をご覧ください。

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