59:発達検査

59:発達検査

発達検査は,心理アセスメントの方法論の一つである心理検査法の内,発達を主として把握する方法である。発達検査は,対象が主に乳幼児があることから,観察に重きが置かれていることが特徴であり,養育者への日常の聴取も重要なアセスメントの材料となる。発達検査には,子ども自身が検査に取り組む直接検査と主に養育者に質問することから査定する間接検査の2種類の検査方法ある。間接検査は,幅広い日常生活の状態から査定でき,比較的簡便できる点でよいが,養育者の主観,評価に左右される可能性がある。一方,直接検査は,直接子どもの状態をみることができる点でよいが,日常生活での状態は捉えにくく,検査を受ける子どもに負担をかけるという短所がある。代表的な検査としては,新版K式発達検査,遠城寺式乳幼児分析的発達検査法,ベイリーⅢ乳幼児発達検査,デンバー発達判定法などがある。日本でよく用いられる新版K式発達検査は,京都児童院(現:京都市児童福祉センター)で1951年に開発された。嶋津・生澤らによって原案が制作され,その後,標準化や改訂が重ねられ現在は新版K式発達検査2001が用いられている。姿勢・運動(postural-motor; P-M),認知・適応(cognitive-adaptive; C-A),言語・社会(language-social; L-A)の3領域の発達の把握が可能であり,各領域および全領域のDA(発達年齢)とDQ(発達指数)が算出できる。一方,海外ではベイリーBayley, N. によって開発されたベイリーIII 乳幼児発達検査がよく用いられている。認知,言語,運動,社会‐情動,適応行動の5領域から構成され,領域間のバランスの比較に重きを置いている。そのため領域ごとDAは算出されるがDQは算出されず,全体についてはDA,DQともに算出されない。

(田中あかり)

文  献
  • 松本真理子・森田美弥子(2018)心の専門家養成講座第3巻 心理アセスメント心理検査のミニマム・エッセンス.ナカニシヤ出版.
  • 上里一郎監修(2001)心理アセスメントハンドブック,第2版.西村書店.
  • 氏原寛・岡堂哲雄・亀口憲治・西村州衛男ほか編(2006)心理査定実践ハンドブック.創元社.

※用語の出典は,『公認心理師基礎用語集 よくわかる国試対策キーワード117』(2018年8月発売)となります。最新版(2022年5月発売)は⇩をご覧ください。

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