57:投映法(投影法)・描画法

57:投映法(投影法)・描画法

投映法(投影法)は,パーソナリティ検査の1つであり非構造的な刺激や教示を提示し,その刺激にクライエントが自由に反応することで測定する。長所としては,より深い意識水準(前意識・無意識)を捉えることができること,社会的望ましさが反映されにくいことなどが挙げられる。短所としては,実施や結果の解釈に時間がかかること,検査の実施,解釈に熟練を要すること,信頼性・妥当性が十分に担保されておらず客観的な指標で捉えられないこと,検査者の主観が入りやすいことなどが挙げられる。投映法の代表的な検査としては,ロールシャッハ・テスト,SCT(文章完成法),P-Fスタディ,TAT(主題統覚検査)などがある。

描画法とは,クライエントが絵を描くことによって測定するパーソナリティ(人格)検査の1つである。ただし,描画法の中には,DAM(グットイナフ人物画知能検査)やBGT(ベンダー・ゲシュタルト検査)といった知能や発達の成熟度,脳の器質的損傷の有無などを把握することのできる検査も含まれる。代表的な検査としては,バウム・テスト,HTP,LMT(風景構成法),KFD(動的家族画法)などがある。また,描画法は,芸術療法としての治療効果も包含しており,心理療法の場で用いられることも多い。長所としては,言語での表現が困難なクライエントに対してしばしば有用であること,自由度が高いことなどが挙げられる。短所としては,結果の解釈に熟練を要すること,侵襲性が高いためクライエントによっては実施に注意が必要であることなどが挙げられる。

(田中あかり)

文  献
  • 松本真理子・森田美弥子(2018)心の専門家養成講座第3巻 心理アセスメント心理検査のミニマム・エッセンス.ナカニシヤ出版.
  • 上里一郎監修(2001)心理アセスメントハンドブック,第2版.西村書店.
  • 氏原寛・岡堂哲雄・亀口憲治・西村州衛男ほか編(2006)心理査定実践ハンドブック.創元社.

※用語の出典は,『公認心理師基礎用語集 よくわかる国試対策キーワード117』(2018年8月発売)となります。最新版(2022年5月発売)は⇩をご覧ください。

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