88:刑事事件への支援

88:刑事事件への支援

裁判員裁判裁判員裁判とは,2009年に開始された裁判員制度に基づき,市民が裁判員として参加して行われる裁判のことである。地方裁判所で行われる刑事裁判のうち,殺人・身代金目的誘拐など,重大な犯罪事件を扱うものが対象となる。通常は,裁判員6名と裁判官3名の組み合わせで審理が進められ,評決は双方を含む多数決によって行われる。なお,悲惨な事件の審理に参加する精神的負担などが課題としてあげられており,裁判員らの心のケアの充実が求められている。

医療観察制度医療観察制度とは,精神障害の影響のもと,刑事責任を問えない状態(心神喪失または心神耗弱)となり,重大な他害行為(未遂を含む,殺人・傷害・放火・強盗・強姦・強制わいせつ)を行った者に対し,適切な医療を提供することで,社会復帰を促進することを目的とした制度のことである。医療観察法の処遇を受けることとなった者は,厚生労働大臣が指定した医療機関で専門的な医療の提供を受けるとともに,法務省保護観察所に配置されている社会復帰調整官により退院後の生活環境の調整などの支援を受けることとなる。

犯罪被害者支援:犯罪被害とその家族の多くは,適切な支援を受けられず,社会の中で孤立しているとの声の高まりを受けて,2005年に犯罪被害者等基本法が施行され,国や地方自治体に総合的な施策が義務づけられた。この法律では,犯罪被害者支援の基本理念として,犯罪被害者は個人の尊厳が重んじられ,その尊厳にふさわしい処遇を受ける権利を有することや,被害を受けてから再び平穏な生活を営むことができるように必要な支援等が途切れることなく講じられるものとすることなどが示されている。

(千賀則史)

※用語の出典は,『公認心理師基礎用語集 よくわかる国試対策キーワード117』(2018年8月発売)となります。最新版(2022年5月発売)は⇩をご覧ください。

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