39:人の態度・行動

39:人の態度・行動

社会的自己はジェームズJames, W.(1892)が分類した自我の内容の1つで,周囲の他者が自分についてもつ印象に基づき自己を捉えることである。このように人は自分についての自分なりの見方や考え方に基づいて自己を捉えるが,その際の「自己注目」,「自己把握」,「自己評価」,「自己表現」の4段階からなる一連のプロセスを自己過程という。さらに人は食べ物や動物などの具体的な対象物や宗教や善悪などの抽象的な事柄に対しても自分なりの見方や考え方を有している。これを態度といい,経験に基づいてある程度一貫性があり,直接目で見て観察できないものとされる。

また人は,日々の多くの時間を他者と関わりながら一緒に過ごしている。そもそも他者と一緒に過ごそうとする社会的行動を起こすエネルギーのもととなるのが社会的動機であり,飢えや乾きなどの生理的動機とは異なり,関わりの中で刺激され満たされる。この際に生じる感情は社会的感情と呼ばれる。他者との関係性において,人は多様な情報を受け取るが,受け取った情報はこれまでの経験や知識(スキーマ)を使用してさまざまな情報処理が行われ理解に至る。これを社会的認知という。このうち,他者の特徴に関する認知を対人認知といい,相手がどのような人かを理解することは,人間関係を構築する上で重要となる。特に初対面では,内面の理解が至らないために相手の外見や行動を観察するなどして印象形成し,パーソナリティを推論することでイメージを作り上げる。こういった推論は他者に対してだけでなく,なぜその出来事が起きたのかという社会的事象についてもなされ,これを社会的推論というが,その際に「~のせい」と原因を突き止めることを帰属という(→85)。

(大嶽さと子)

文  献
  • James, W.(1892)Psychology. Henry Hol and Company.(今田寛訳(1992)心理学.岩波書店.)

※用語の出典は,『公認心理師基礎用語集 よくわかる国試対策キーワード117』(2018年8月発売)となります。最新版(2022年5月発売)は⇩をご覧ください。

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