27:言語障害

27:言語障害

主な言語障害は,1)聴こえの障害:聴覚障害,2)言語の障害:失語症,言語発達障害,3)話し言葉の障害:構音障害,吃音,音声障害,の大きく3つに分類される(なお2)に高次脳機能障害,3)に嚥下障害を含める考え方もある)。

このうち失語症とは,脳血管障害や事故などにより,大脳の言語領域が損傷され,いったん獲得された言語能力(理解と表出)が障害されるものである。意識障害,認知症などの全般的知能低下や失行,失認,構音障害,無言症など,ほかの機能障害によって二次的に生じているものではない(大森ら,2018)。失語症は,程度の差はあるが,4つの言語モダリティの全て,すなわち聞いて理解する(聴覚的理解),読んで理解する(読解),話す,書く能力が障害される。古典分類では失語症は8つに分類され,その代表的なものが19世紀に最初の症例報告をした医師の名をつけたブローカ(Broca)失語ウェルニッケ(Wernicke)失語である。前者は,比較的,言語理解は保たれるが(正常ではない),言語表出,特に発話の流暢性が障害され,たどたどしい話し方となる。後者は,言語理解,特に聴覚的理解が障害され,一見発話は流暢であるが,音や語の誤り(例えば,みかんをみたん,るめれこ,りんご,など)が特徴的である。

また,言語発達障害は言語発達が同年齢の子どもに比して遅れ,日常生活などに支障をきたす状態を指し,原因として知的能力障害や自閉スペクトラム症,ディスレクシアなどがある。このうちディスレクシアは,全般的な知的能力に遅れはないが,先天性に読字困難を示す限局性学習症(LD)の一種である。脳の機能障害が推測されているが、「怠けている」「育て方の問題」などと誤解され二次的な問題が生じやすい。

(土屋美智子)

※用語の出典は,『公認心理師基礎用語集 よくわかる国試対策キーワード117』(2018年8月発売)となります。最新版(2022年5月発売)は⇩をご覧ください。

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