104:医療法

104:医療法

医療法は,医療水準の確保を図り,医療サービスを実際に提供する病院や診療所などの医療提供施設に関する定義や開設するための要件,基準などについて定められた法律で,昭和23(1948)年に施行され,平成4(1992)年に第2次改正が行われた。この改正では,医療提供の理念が明記され,医療は,生命の尊重と個人の尊重の保持を旨とし,医療を受ける者の心身の状況に応じて良質かつ適切なものでなければならないと定められた。この理念に基づき,現在でも改正が行われ,平成29(2017)年に第7次改正が行われた。

この法律では,病院(20床以上)や診療所(無床,または19床以下)などの医療機関の定義とそれらの開設・管理・監督,病床別の構造設備の基準および人員の標準,医師数・看護師数の標準が決められている。

医療保険制度とは,一定の自己負担で必要な医療を受けることができる制度であり,わが国では,すべての国民が何らかの公的医療保険に加入する国民皆保険制度がとられている。希望する病院や診療所などを自由に選ぶことができるフリーアクセスのシステムもわが国の特徴である。医療法の第7次改正では,広告規制の強化や医療の選択に関わる国民の責務など,医療に関する適切な選択が規定されている。さらに医療の安全の確保として,医療事故調査制度や医療安全支援センターの設置,および院内感染制御対策の充実などが規定された。また医療計画制度とは地域における医療機関の適正配置や医療連携体制の構築などを目的とし,地域の医療体制を定める制度で,平成25(2013)年からはこの制度の下で,5疾病(がん,脳卒中,急性心筋梗塞,糖尿病,精神疾患),5事業(救急医療,災害時における医療,へき地の医療,周産期医療,小児救急医療を含む小児医療[その他])および在宅医療ごとの医療連携の強化を進めている。

(浦田有香)

文  献

※用語の出典は,『公認心理師基礎用語集 よくわかる国試対策キーワード117』(2018年8月発売)となります。最新版(2022年5月発売)は⇩をご覧ください。

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