108:児童にかかわる条約・基本法

108:児童にかかわる条約・基本法

1989年の第44回国連総会において「児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)」が採択され,1990年に発効した。この条約は,児童の人権の尊重の観点から必要となる具体的な事項を規定したものである。日本は平成6(1994)年に批准した。この条約の締結国は,児童に関するすべての措置をとるに当たって「児童の最善の利益」を考慮することとなっている。

児童福祉法は,昭和22(1947)年に制定された児童の福祉を保障するための法律である。児童福祉法では,社会的養護が必要な子どもたちのための児童福祉施設(第7条)が規定されている。社会的養護とは,保護者のない児童や,保護者に監護させることが適当でない児童を,公的責任で社会的に養育し,保護するとともに,養育に大きな困難を抱える家庭への支援を行うことである。児童福祉施設とは,助産施設,乳児院,母子生活支援施設,保育所,幼保連携型認定こども園,児童厚生施設,児童養護施設,障害児入所施設,児童発達支援センター,児童心理治療施設,児童自立支援施設および児童家庭支援センターとされている。なお児童心理治療施設は平成29(2017)年4月に情緒障害児短期治療施設から名称変更されたものである。

「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ条約)」は,国境を越えた子どもの不法な連れ去りや留置をめぐる紛争に対応するための国際的な枠組みとして,締約国間の協力等について定めた条約である。1980年10月25日に作成されたもので,日本は2014年に締結している。日本人と外国人の間の国際結婚・離婚に伴う子どもの連れ去り等に限らず,日本人同士の場合も対象となる。

(坪井裕子)

文  献

※用語の出典は,『公認心理師基礎用語集 よくわかる国試対策キーワード117』(2018年8月発売)となります。最新版(2022年5月発売)は⇩をご覧ください。

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