113::教育基本法

113::教育基本法

教育基本法は昭和22(1947)年に制定され,平成18(2006)年に改正された。この法律では,教育の目的を「教育は,人格の完成を目指し,平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健全な国民の育成を期して行わなければならない」と定めている。また,第4条では教育機会の均等を定めており,人種,信条等によって教育上差別されないことが記されている。加えて,障害のある者にも教育機会を保証することや,経済的理由により修学が困難な者への奨学措置についても定めている。

学校教育法は学校教育に関する規定を定める法律である。昭和22(1947)年に制定され,平成18(2006)年の新教育基本法の改正を受けて平成19(2007)年に改正されている。学校とは,幼稚園,小学校,中学校,義務教育学校,高等学校,中等教育学校,特別支援学校,大学および高等専門学校であると定義されている。なお,この改正により,学校に副校長や主幹教諭,指導教諭を置くことができるようになった。

近年ではいじめや不登校といった問題を抱えた児童生徒への支援に関する法律も定められている。いじめ防止対策推進法は平成25(2013)年に公布された。いじめとは「児童等に対して,当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって,当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう」と定義されている。この法律では,国および地方自治体がいじめ対策に関する責務を有していることのほか,学校が複数の教職員,心理,福祉等の専門家その他の関係者により構成される組織を置くこと,といった組織的対応の必要性が明記されている。

不登校支援に関する法律として,義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律,通称,教育機会確保法が平成29(2017)年に施行された。従来の不登校問題への対応は,学校復帰を基本的な考え方としていたが,この法律では休養の必要性,つまり学校を休むことの必要性が認められている。また,学校の外における適切な学習機会の重要性が認められており,フリースクールや公的な教育施設などの学校以外の教育機会の確保や整備,関連する情報の提供などを国および地方自治体の責務としている。

なお,いじめや不登校の問題に対応するために,教育相談所教育支援センターなどの教育相談機関が各地域に設置されている。教育相談所とは,教育委員会が設置しているいじめや不登校等の教育に関する種々の相談に対応するための相談機関である。教育支援センターは,不登校の児童生徒における集団適応,情緒の安定,基礎学力の補充,基本的生活習慣の改善等のための相談・適応指導を行う公的機関であり,自治体によっては適応指導教室等とも呼ばれる。なお,先の教育機会確保法においては,教育支援センターは学校外の教育機会を提供する公的な機関として位置づけられる。

また,発達障害に関する法律として,発達障害者支援法が平成16(2004)年に公布,平成28(2016)年に改正された。この法律は,発達障害を抱えた人の適正な発達および円滑な社会生活の促進のために,早期発見,支援の重要性が示されている。なお,この法律により,学校,家庭,および地域が連携して発達障害を抱えた一人ひとりの児童生徒に応じた個別の教育支援計画が作成されることが明確に示された。なお,発達障害に関連して,特別支援教育や通級指導といった制度や仕組み(→⑬2)は,通常学級における教育のみでは十分な能力を身につけることが難しい特性をもった子どもにおける教育機会の確保に重要な役割を担っている。

(二宮有輝)

文  献

※用語の出典は,『公認心理師基礎用語集 よくわかる国試対策キーワード117』(2018年8月発売)となります。最新版(2022年5月発売)は⇩をご覧ください。

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