22:思考

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推論演繹的推論帰納的推論に分けて捉えられる。前者は一般的知識から個々の事例を導く推論様式,後者は個々の事例をもとに一般的な知識を導く推論様式である。演繹的推論には2つの前提から1つの結論を導く定言的三段論法と「もしpならばq」という形をとる文を用いた条件文推論がある。条件文推論の代表的な課題としては4枚カード問題(ウェイソンWasonの選択課題)がある。「もしpならばq」のときに「not p ならばnot q」と考える誤りを前件否定の誤謬,「qならばp」と考える誤りを後件肯定の誤謬という。4枚カード問題は同型であっても題材によって正解率が異なることから,当初は形式的規則理論やメンタルモデル理論のように,推論には抽象的なルールや表象が用いられていると考えられていたのに対して,具体的な知識が用いられているという記憶手がかり説や,完全に抽象的でも完全に具体的でもない「義務」や「許可」のようなスキーマを用いた推論が行われているという実用的推論スキーマ説が提唱されている。帰納的推論は,事例収集,仮説形成,仮説検証の3つの段階で捉えることができる。代表的な課題としては2-4-6課題がある。ウェイソン(1960)は,この課題を用いて,人々には自説を支持する事例を収集し,反する事例を無視する傾向,すなわち確証バイアスがあることを示している。

問題解決とは何らかの要求が満たされていない初期状態からそれが満たされた目標状態へと状態を推移させるために,具体的な手続きである操作子を適用していく過程として捉えられる。その際,さまざまなヒューリスティック(多くの場合に正解が得られるが,常に正解が得られるとは限らない簡便な方法)が用いられるが,目標状態との差が最も小さくなる操作子を選ぶ方略を手段-目標分析という。

(清河幸子

文  献
  • Wason, P. C.(1960)On the failure to eliminate hypotheses in a conceptual task. The Quarterly Journal of Experimental Psychology, 12; 129-140.

※用語の出典は,『公認心理師基礎用語集 よくわかる国試対策キーワード117』(2018年8月発売)となります。最新版(2022年5月発売)は⇩をご覧ください。

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