19:感覚

19:感覚

あらゆる生活体にとって重要な外界および生体内部の情報を受容する役割を担っているのが感覚である。感覚は受容する刺激(情報)の種類によって,「視覚」「聴覚」「嗅覚」「味覚」「皮膚感覚(触覚を含む)」のいわゆる五感に加えて「体性感覚」「自己受容感覚」「平衡感覚」「内臓感覚」などに分類されている。このうち,体性感覚とは皮膚表面における感覚である皮膚感覚と身体内部の感覚を意味する「深部感覚」の総称であり,内臓感覚は含まないものである。深部感覚とは「固有感覚」あるいは「自己受容感覚」と呼ばれ,身体部位の位置や身体内部の感覚を指す。各感覚に対し,刺激を受容するために独自の「受容器」が存在しており,各受容器にはもっとも効果的な刺激となる「適刺激」が定められている。また,受容器とそれに続く神経系および周辺の付属器官を含めたものはまとめて「感覚器」と呼ばれ,たとえば視覚では受容器が網膜,感覚器が眼にあたる。生活体はこれらのさまざまな感覚を通して外界や自らの状態を認知し,行動しているが,その際に一つだけの感覚に頼っている場面は少ない。実際には,各感覚器を通して同時に複数の刺激が入り,そこから生じた複数の感覚を統合したうえで行動をしている。この統合のことを感覚統合と呼び,適切に統合されない場合に,不適応行動が生じると考えられている。そのため,感覚統合訓練では複数の感覚刺激を同時に与え,それに対する反応へフィードバックを与えることで感覚統合を促進し,適応状態を向上させることが目標となる。

(谷 伊織)

※用語の出典は,『公認心理師基礎用語集 よくわかる国試対策キーワード117』(2018年8月発売)となります。最新版(2022年5月発売)は⇩をご覧ください。

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