1:公認心理師の役割

1:公認心理師の役割

公認心理師法の第2条には,公認心理師の定義が示され,「『公認心理師』とは,第28条の登録を受け,公認心理師の名称を用いて,保健医療,福祉,教育その他の分野において,心理学に関する専門的知識及び技術をもって,次に掲げる行為を行うことを業とする者をいう」とされる。そして,公認心理師の役割として,「1.心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し,その結果を分析すること。2.心理に関する支援を要する者に対し,その心理に関する相談に応じ,助言,指導その他の援助を行うこと。3.心理に関する支援を要する者の関係者に対し,その相談に応じ,助言,指導その他の援助を行うこと。4.心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供を行うこと」とされている。

公認心理師の役割として,心の問題を抱えている人を理解し,その相談に応じて援助を行うことがあげられている。この業務は従来の心理に関する相談業務としてさまざまな現場で中心的な内容とされてきたものと同様である。

この法ではさらに,対象となる人(クライエント/要支援者)の関係者に対しても同じような業務を行うとされている。この関係者とは,家族だけではない。医療機関での医師や看護師,教育・保育現場での教師や保育士,産業領域での職場の同僚や上司などのほか,福祉領域や司法領域で関わる人々,そして地域でともに関わる人など,非常に広い範囲が含まれ,そういったいわゆる多職種連携および地域連携も業務とされているのである。

さらに,4番目の業務とされているのは,心の問題を抱えた人やその関係者への対応だけではなく,国民全般の心の健康に関しての教育や情報を提供することがあげられている。すなわち,心理教育等を通したより積極的な心の健康増進の業務を社会の中で果たすことが期待されているといえよう。

(川瀬正裕)

※用語の出典は,『公認心理師基礎用語集 よくわかる国試対策キーワード117』(2018年8月発売)となります。最新版(2022年5月発売)は⇩をご覧ください。

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