18:実験結果の解釈と報告書の作成

18:実験結果の解釈と報告書の作成

心理学における学術論文等の報告書は,問題,方法,結果考察の章に分けて作成するのが基本である。問題の章では,これまでの研究の流れと,その中から導かれる問題点,およびその研究において明らかにすること,仮説等を提示する。方法の章では,研究において行われた実験の参加者,刺激,手続き等を記載するが,その際,報告書を読んだ人が,その実験を再現するために必要な情報が含まれなくてはならない。次に,実験によって得られたデータやそれらに対する統計的分析結果(→15)を,結果の章に記述する。ここでは,データや検定の結果を記述し,研究者の解釈や考察は記述しない。データの種類や分析結果に応じて,適切な図,表を用い,本文中でそれらから読み取れる事実について言及する。その際,方法において収集することを示したデータについては漏れなく言及する。また,期待に反する結果や不都合な結果を故意に隠してはならない(American Psychological Association,2010)。続く考察の章では,結果で報告したデータに基づき,仮説との関連から結果の解釈を述べる。考察では,研究によって得られた主な知見を明示するとともに,これまでの研究と整合性や相違点,今後の展望についても議論する。学術論文等の報告書では,これまでの研究知見,研究手続きや測定尺度について言及する際には必ず文献を引用し,文中にその引用元を明示するとともに,報告書末尾の引用文献の章にリストを作成する。引用方法については学術雑誌ごとに細かなルールが設定されているため,手引きや投稿規定等を参照する。

 (山内星子)

文  献
  • American Psychological Association(2010)Publication Manual of the American Psychological Association, Sixth Edition. American Psychological Association.(前田樹海ら訳(2011)APA論文作成マニュアル,第2版.医学書院.)

※用語の出典は,『公認心理師基礎用語集 よくわかる国試対策キーワード117』(2018年8月発売)となります。最新版(2022年5月発売)は⇩をご覧ください。

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