17:実験データの収集とデータ処理

17:実験データの収集とデータ処理

心理学に関する実験では,検証したい仮説に応じて,実験室における実験のみならず,調査,観察,検査,面接等の実験手続きを用いることができる。調査を用いた実験であれば実験室実験ではPCや実験者によって提示される刺激を,質問紙上で呈示するなどの手法をとる。また,観察を用いた実験は,自然観察法(→13)とは異なり,要因を操作し,その影響を観察することを指す。また,検査面接を行い,実験参加者の選択を行ったり,従属変数の変化を検証することも可能である。なお,実験においては,独立変数以外の要因の影響をできる限り排除する必要があるため,実験者の存在が参加者(またはマウスなどの被験体)に与える影響(実験者効果)を考慮したり,手続きがどの実験参加者に対しても同様に行われるよう,マニュアルの整備,実験者の訓練が必須である。また,臨床現場における治療等の効果を調べる場合など,完全に条件を統制することが困難な場合には,できる限り条件の効果を評価できるよう工夫した準実験デザインを採用することもある(南風原,2001)。

これらの手続きを経て収集されたデータをローデータ(raw data)と呼ぶ。ローデータは,そのままではデータ解析,すなわち統計的分析に適さない場合もある。データ解析にあたって,データに欠損や不備はないか点検し,データを整える。例えば観察法や面接法を用いて得たデータは,カウントやコーディング等を行うことにより数値化するなどの処理を行う場合もある。実験において得られたデータは,統計手法を用いて分析を行う(→15)。実験計画を立てる際には,データ解析に用いる手法を含めて計画を立てることが重要である。

(山内星子)

文  献
  • 南風原朝和(2001)準実験と単一事例実験.In:南風原朝和ら編:心理学研究法入門.東京大学出版会,pp.123-152.

※用語の出典は,『公認心理師基礎用語集 よくわかる国試対策キーワード117』(2018年8月発売)となります。最新版(2022年5月発売)は⇩をご覧ください。

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