117::職場ストレスと法

117::職場ストレスと法

労働者のメンタルヘルス対策を推進するため,平成18(2006)年に労働安全衛生法第69条1項「労働者に対する健康教育及び健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るため必要な措置」の適切かつ有効な実施を図るための指針として「労働者の心の健康の保持増進のための指針」が示された。これは,事業場においてメンタルヘルスケアの原則的な実施方法について定めたものである。その後,平成27(2015)年の改正により,ストレスチェック制度が設けられた。

ストレスチェック制度は,労働者の心理的な負担の程度を適切に把握し,労働者自身のストレスへの気づきを促すとともに,職場改善につなげ,働きやすい職場づくりを進めることによって,労働者のメンタルヘルス不調を防止する(一次予防;→73)ことを目的としている。ストレスチェックは,常時50人以上の労働者を使用する事業場で1年ごとに1回の頻度での実施が義務づけられている(50人未満の場合は努力義務)。医師,保健師または厚生労働大臣が定めた研修を修了した看護師もしくは精神保健福祉士が実施者となり行われる。ストレスチェック結果の通知を受けた労働者のうち,高ストレス者として選定され,面接指導を受ける必要があると実施者が認めた労働者から申し出があった場合は,事業者は,当該労働者に対して,医師による面接指導を実施する。面接後,事業者は医師から,就業上の措置に関する意見を聴取し,必要に応じて,適切な措置を講じることが規定されている。

(石川佳奈)

文  献

※用語の出典は,『公認心理師基礎用語集 よくわかる国試対策キーワード117』(2018年8月発売)となります。最新版(2022年5月発売)は⇩をご覧ください。

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