111:高齢者

111:高齢者

高齢者に関する法律は,1963(昭和38)年に施行された老人福祉法が最も歴史がある。高齢者福祉全般に関する基本的法律であり,老人の福祉の原理を明らかにしたものである。高齢者の心身の健康や,安定した生活を送れるよう老人福祉を図る目的で制定され,特別養護老人ホームなどの老人福祉施設は老人福祉法で規定されている。

また,核家族化などによる家族の介護機能の低下を受け,介護を必要とする人が適切なサービスを受けられるように社会全体で支えることを目的として介護保険法が2000(平成12)年に施行された。介護保険は,自立支援,利用者本位,社会保険方式(40歳以上の国民から保険料を徴収)の3つの柱を基本に成り立っている。

さらに,高齢者の権利擁護を目的として「高齢者虐待の防止,高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(高齢者虐待防止法)」が2006(平成18)年に施行された。家庭内だけでなく,施設・事業所の従事者などによる虐待も対象としており,1)身体的虐待,2)ネグレクト,3)心理的虐待,4)性的虐待,5)経済的虐待の5つを規定している。

今後ますます認知症高齢者の増加が見込まれる中で,2015(平成27)年には「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」が発表された。国家戦略として「認知症の人の意思が尊重され,できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会を実現する」ことを目指している。

(鈴木亮子)

※用語の出典は,『公認心理師基礎用語集 よくわかる国試対策キーワード117』(2018年8月発売)となります。最新版(2022年5月発売)は⇩をご覧ください。

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