112:福祉分野のその他重要な制度・法律

112:福祉分野のその他重要な制度・法律

配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(DV防止法)は,平成13(2001)年に制定され,その後,平成16(2004)年,平成19年(2007)年,平成25(2013)年に改正が続けられている。DV防止法は,女性の人権擁護と男女平等の実現を図るため,夫やパートナーからの暴力の防止および被害者の保護と支援が目的である。同法では,配偶者暴力相談支援センターの設置が定められており,DV被害者およびその家族の相談,医学的・心理的などの必要な指導,緊急時の安全確保や一時保護,被害者の自立支援,保護施設に関する情報提供や助言,関係機関との連絡調整などの業務を行っている。DVに関する相談機関として,配偶者暴力相談支援センターの他,警察,児童相談所福祉事務所などがある。児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力がある事案(面前DV)も心理的虐待の対象となっており,児童相談所が関わることも多くなっている。平成27(2015)年度の厚生労働省の報告によれば,児童相談所での児童への心理的虐待相談件数が増加している。

また,日本国憲法第25条の理念に基づき,国が生活に困窮するすべての国民に対する必要な保護と最低限度の生活を保障し,自立を助長する目的で昭和25(1950)年に生活保護法が施行された。平成25(2013)年には,生活保護に至る前からの自立支援策の強化を図るために,生活困窮者自立支援法が制定された。この法律では,経済的に困窮し,最低限度の生活を維持することができなくなる恐れのある者を対象に,自立支援相談事業,住宅確保給付金その他の事業を行う。福祉事務所設置自治体が主体となり,職業安定機関,教育機関などとの連携を図り,事業を実施している。自治体直営,社会福祉法人等の民間委託も可としている。

(浦田有香)

※用語の出典は,『公認心理師基礎用語集 よくわかる国試対策キーワード117』(2018年8月発売)となります。最新版(2022年5月発売)は⇩をご覧ください。

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