【特集 被害者を支援する──性暴力・性虐待を中心に】#00 はじめに|信田さよ子

信田さよ子(原宿カウンセリングセンター顧問)
シンリンラボ 第14号(2024年5月号)
Clinical Psychology Laboratory, No.14 (2024, Mar.)

特集趣旨

#Me too運動以降,日本でも性暴力・性虐待,セクシュアル・ハラスメントの問題が世間の注目を集めるようになった。旧ジャニーズ事務所や自衛隊での性暴力の告発が世間を騒がす一方で,告発した人への二次加害も後を絶たず,性暴力・性虐待,セクハラがいかに人の尊厳を奪うものであるかということへの理解が進んでいるとは言えない。今後は心理職が犯罪被害者の支援者として期待される(第4次犯罪被害者基本計画)ようになり,質の高い被害者支援を実現する力が求められることになる。しかし,犯罪被害者支援の歴史そのものがまだ浅く,とくに性暴力や性虐待に対しては心理支援の現場でも対応が遅れているのが現状である。性暴力・性虐待,セクハラ被害の相談を受けたり,被害に気づいたりしたとき,どのように対応したらよいのだろうか。

本特集では,性暴力・性虐待被害者支援の最前線で活動されてきた方々に,支援に臨むための基礎知識や心構えを伺った。性暴力や性被害に関わるには支援者の姿勢や覚悟も試されるだろう。心理職として,性暴力・性虐待,セクハラ被害者支援に積極的に,適切に関われる力量を身につけるための第一歩としてほしい。

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信田さよ子(のぶた・さよこ)
原宿カウンセリングセンター
資格:公認心理師,臨床心理士
著書:『家族と厄災』(生きのびるブックス,2023),『共依存—苦しいけれど、離れられない 新装版 』(朝日文庫,2023),『タフラブー絆を手放す生き方』( dZERO,2022),『家族と国家は共謀する』(角川新書,2021),『暴力とアディクション』(青土社,2024),『心理臨床と政治 こころの科学増刊』(日本評論社,2024)など多数

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