【特集 子どものこころへ,臨床動作法による心理支援】#04 思春期の青年への臨床動作法|小山真弓

小山真弓(成城心理オフィスぐろーいんぐ)
シンリンラボ 第8号(2023年11月号)
Clinical Psychology Laboratory, No.8 (2023, Nov.)

1.思春期の青年たちの心理的特徴

1)もはや子どもではないが,大人でもない。自分探しの真っ只中

中学生高校生,すなわち13歳から18歳の子どもたち(以下,本稿では思春期の青年たちと称す)は,大人になっていく過程の劇的な変化の只中にある。第二次性徴と言う身体的成熟への急激な変化が訪れる。この変化に驚き,違和感や戸惑いを感じる者も少なくない。また,認知面の成長発達も著しく,過去現在未来という時間の流れや他者の視点から捉えるようになり,自分を客観的に見つめる力が育っていく。身体的変化をきっかけに,自分自身を見つめる心の動きも活発になり,新たな自分探し,自分づくりが始まると言える。

2)自分の内面を十分に表現することが難しい

しかし,いざ自分を見つめてみると,自分でも自分のことがよくわからないし,自分がどう感じ思っているかを言葉で表現することもおぼつかない。そんな自分をわかってもらうことは儘ならず,もどかしさ,苛立ちを覚えたりする。そして戸惑いや不安が大きくなり,気分も変わりやすく情緒的に不安定である。このようなストレス状態を解消する術も十分に身につけていないため,頭痛,めまい,肩こり,疲労感,過呼吸など身体症状に現れたり(最上,2005),リストカット,ネット依存など行動によって表現されるようになる(磯邊,2008)。

3)大人の価値観に疑問を抱く一方,友人の存在は心の拠り所

そんな混乱の中で,現実は理想通りでないことを知り,親や教師など大人の価値観に疑問を抱くようになる。「本当にそうなのか」「正しいと思っていたのに」という不信感,「ほっておいてほしい」「どうせ,大人はわかってくれない」という反発心,「咎められるのではないか」「こんなことをやって,大丈夫か?」という警戒心が生まれ,自分の拠り所を見失い揺らぎはさらに強くなる。まさに「疾風怒濤の時代」である。大人の庇護から離れて自立したいが,自分の中にはまだ確固たる価値観が形成されず,心細くもある。こんなアンビバレントな中,友人も同じような思いに駆られていることを知ると「お前も」と安堵し,友人の存在は心の拠り所となる。これが,自分の居場所としてかけがえのないものとなるがゆえに,友人に受け入れられているか否かは最大の関心事である。SNSでの既読スルーやイイネの数に一喜一憂するなど,周囲の反応に敏感になる。

2.思春期の青年たちに生じやすい困難さ,援助の難しさ

このような心の世界が展開している思春期の青年たちは,親には多くを語らなくなり,放課後や休日も友人と過ごす時間が増え,家族との行動に抵抗を示すことも少なくない。

こんな中で自分探しや居場所づくりにつまずくと,孤立感を抱き,意欲が低下して希望や期待することを諦め,外界との交流を遠ざけて自分の世界に閉じこもっていくことにもなる。例えば,

  • 部活動でのトラブルで授業にも部活にも一切出なくなった中学2年生男子
  • 自分のガスが出てしまうことが気になって遅刻や早退を繰り返す高校1年生男子
  • 何事にも意欲がなく,学校に行く意味を見出せない高校2年生女子
  • 朝起きると頭がクラクラ,学校行っても大丈夫かなと心配な中学1年女子

など。

こういったクライエントに,心理援助者としてどのような支援が行えるであろうか。大人への不信感から多くを語らず,警戒的。心が現実から離れ,考えが一人歩きする。生きるエネルギーが得られず,問題意識が乏しい。自分のことがよくわからず周囲の言動に翻弄される。反発心,不信感,諦め,不確かさなどさまざまな要因から,彼らは大人の援助を受け入れることが難しい。

一方動作とは,こころがからだを動かす現象である(成瀬,2014)。思春期の青年たちの姿勢や動作にも,こころの有り様は映し出され,たとえ語ることや伝えることをやめてしまっても,動作を通して彼らのこころの有り様を捉えることが可能となり,その困難さに迫ることができる。

3.動作から見えてくるこころの有り様

1)高校1年Aくん:自分のガスが出たのをクラスメイトは知っているに違いない。

[本人からの談]

元々お腹の調子を崩しやすく,過敏性腸症候群と診断されている。自分の腸の音や発してしまったガスの音が,クラスメートに聞こえているのではないか。皆は,聞こえていないように振る舞っていて,内心自分のことを軽蔑しているのではないかと気になる。お腹の調子が悪い時は朝から行けない。学校で調子が悪くなると早退している。出席日数が足りなくなりそうな授業があり,追試を受けても単位を取るのが難しいのではないか。そんな自分は高校に籍を置いている資格はない,退学した方がいいのではと思い詰めている。

[立ち姿,座る姿勢から推測されるB君のこころの有り様]

立ち姿では,両肩は怒り肩,腕にも力が入っている。椅子に座ると,腰を後傾させて背もたれに寄りかかり,お腹を凹ませ,お尻の穴を塞ぐように座っている。座っている時も腕や肩には力が入り,身構えている。授業中も,このように身構えた姿勢であることが想像された。ガスの音が漏れないように,またお腹の音が聞こえないでくれという思いが伝わってくる。自分のダメな部分が見えてしまはないか,恥ずかしい事態が起こりはしないかと気がかりで,常に気を張り落ち着かない状態でいることが推察された。

2)高校2年Bさん:何のために学校に行くのか意味を見出せない。朝起きられない。何事にも意欲がない。

[母親および本人からの談]

中学2年時,友達グループで意見が合わず,学校に行かなくなる。テスト,行事には時折参加。高校はサポート校に入学。1学期は登校していたが,3学期頃から「学校に行く意味がわからない」「友達と話が合わない」と意欲が下がり,朝起きられず登校しない日々が続く。2年生になり,カウンセリングを親に勧められて来談するが,「特に困っていない」「話すことはない」とのこと。

[立ち姿勢から推察されるBさんのこころの有り様]

立ち姿は,猫背,足の指先を縮めて立っている。首が詰まり,肩が内転し,腕は体側ではなく体の前に垂らされている。立ってはいるが脚に力が入っておらず足で床を踏みしめられず,不安定さが伝わる。立ち姿勢を保つために首元に力を入れて,足の指先で体を支えバランスを取っている。友達にわかってもらえないきつさ,頼りなさ,不安定さが感じ取られた。安心して実感を持った体験が起こりにくく,心が活性化しにくい状態にあると推察される。

4.臨床動作法の実際,動作体験で起きていること

これらのケースに対して,臨床動作法では,どのような心理援助が行えるであろうか?

臨床動作法の実際を見ていくことにする。

1)自分の状態を捉え,コントロールして外界に働きかける力をつけていったAくん

①坐位姿勢づくり

Aくんの立ち姿勢は,肩は怒り肩,背中上部は一枚板のように張っている。足の踏みしめは弱く,腕に力を入れ肩を押し上げた姿勢を保っている。また椅子に座る時は,腰を後傾させ背中を丸めて椅子の背に寄りかかって座っていた。このため,腰の上に上体をまっすぐ保つことが難しかった。授業中に長時間この姿勢で座っていれば,体を緊張させ疲労が溜まりやすいので,姿勢の改善が必要であることを説明し動作法を提案した。

まず坐位姿勢を整える動作に取り組んだ。援助者は,Aくんに自分自身がどんな姿勢をとっているかわかるように,Aくんと同じ姿勢をとり腰が後傾していることを示した。そして腰を立てながら,〈腰をこのように立てましょう〉と伝えた。Aくんはどこをどう動かして良いのかがわからず戸惑っていた。そこで〈ここが腰骨です〉と援助者の左右の腰骨に手を当て,Aくんにも自分の腰骨に手を当てることを促した。Aくんは,自分の腰部位に視線をむけ,左右の腰骨に手を当て,自分の腰というからだの特定部位に注意を焦点付け,その存在を捉えた。この後,骨盤を後ろに倒し立てるという動きを繰り返し,腰を立てられるようになった。その後,動作面接を2回3回と実施していく中で,坐位腰前屈げ課題に取り組み(学童期の子どもへの臨床動作法の動画参照),上体をタテまっすぐに保ち,坐位姿勢を作ることができた。

②肩上げ動作課題

坐位姿勢が整ったところで,肩や腕の緊張をとるために肩上げ動作課題に取り組んだ(本編,動画「思春期,左肩上げ」参照)。最初に,自分の肩の動きを確かめるために,援助者が両肩を同時に上げていく動きを示し,Aくんも両肩を上げようとした。が,肩が動く代わりに,腕がピンと張り,両腕を八の字になるように動かした。〈今動いているのは,腕ですね〉と援助者が伝えると,「あ,」とAくんは驚き,反射的に腕を下ろした。

そこで援助者は,Aくんの肩先に指を当て,「この肩先が上がっていくように動かしてみましょう〉と動かす部位を明確に示すと,Aくんは肩先に注意を向けていたが,動きは出ず再び腕が八の字に動き始めた。援助者は,〈今腕が上がっていますね,その腕をおろしてみましょう。〉と伝えると,Aくんは両腕の動きを止めて下ろした。腕を下ろすという動きを意図して,実際におろすことができた。意識にのぼらず自動化していた動きを意識化する体験が起きた。

〈では腕は動かさずに,ここ(肩先)を上に上げてみましょう〉と援助者は肩に手を添えて,上げていく部位と方向を示した。Aくんは肩に注意を向け,そこを動かそうと努力している様子が伺えた。そこで援助者は,〈こちらの方向〉と当てている手で肩を上げていく方向へ少しだけ動きを示した。Aくんの肩先は,わずかに動き再び止まった。〈そう,動きましたね。その感じです。では,ゆっくり下ろしてみましょう〉と援助者は,手をAくんの肩に当てたまま肩を下ろす動きに沿っていった。Aくんは,肩が上がって下りる動きの感じを実感した。この後,2回3回と援助を手がかりに,両肩を上げるという動作を実現する努力を繰り返した。Aくんは,肩を上げる動きはどういうものか(動作感)を実感し,「ああ,(こういう動きか)」と確かめながら上げていった。援助を手がかりに動作課題を理解し,からだの動きをつかんでいった。

自分の腰の存在を触って確かめ,自分のからだに注意を向けて肩という部位を意識し,それらを自分で動かしていくことで,自己に向き合う体験の仕方を得た。普段は,周囲の思惑にとらわれて,意識することも実感することもなく曖昧だった自己の存在を確かなものにしていった。

2回目の動作面接から,片方ずつ肩を上げる動作課題(左肩上げ,右肩上げ)を提示した。どちらも,最初は肩を上げる動きに専念しているが,上がってくると気持ちが逸り,腕が開き始めた。その都度援助者は腕の動きを指摘し,Aくんは腕の力を抜く努力をした。課題を繰り返すと,援助者が指摘しなくとも腕に力を入れていることに気づき,修正していくようになった。不必要な力(随伴緊張)を抜きながら,肩を上げるために必要な力を必要な部位に入れていく動きを見出していった。自分のからだを観察しながら動きをコントロールする体験が生まれていると考えられる。

3回目,4回目の動作面接では,不必要な力を入れずに肩を上げていっても動かせない状態があること,慢性的に緊張した部位を援助者から教えられ,自分が緊張感が強くからだを緊張させていることに気づいていった。

③動作面接実施後の日常生活の変化

4回の動作面接後Aくんは,体調を見て整腸剤を飲むタイミングを見計らっていると報告した。その後,自分の出席日数について担任に相談し,出席回数不足で追試になることのないような登校の仕方を計画していった。自分の体調を自分で管理しながら登校し,無事に2年に進級した。またガスが出そうになったりお腹の音が出そうと感じると,トイレに行ったり保健室で休むなど工夫していることが語られた。日常生活で,不安に駆られて身動きできず根拠のない考えに囚われていた状態から,自己コントロール的,現実検討的に対処するように変化していった。自己確実感を獲得し,能動的に対処する体験の仕方が獲得された。

2.自分自身や物事に対する実感を取り戻し,気持ちや考えを表明し始めたBさん

①肩上げ課題

Bさんは,困り事はないし話すこともない。ただ,スマホでYouTubeを観すぎたせいか,首が凝る,特に右と語った。援助者は,日常生活でBが抱いたさまざまな緊張感に伴い生じたからだの緊張が,蓄積し解消されないまま首の凝りとなっていると見立てた(土居,2019)。そこで,右肩上げという動作課題に取り組むこととした(本編,動画「思春期,左肩上げ」参照)。援助者は肩に手を添えて〈右肩をまっすぐ上へ,上げていきましょう〉と声かけすると,Bさんは,自分のペースで上げていく。声かけと手の援助で〈まっすぐ上へ〉と伝えたにもかかわらず,肩は内転し首元によっていった。そしてすぐに「あ,動かない」と肩の動きを止める。動かそうとしても動かず,意図の実現が難しいと,実現に向けて取り組むことなく意図の達成を諦めてしまう体験様式が認められた。そこで一旦肩を下ろしてもらい,〈動かない感じがするんだね。Bさんの肩の動きにくさはどこから来ているのだろう。それがわかると,首のコリをとれるかもしれない。もう一度一緒に動かして,どんな上げ方をしているかを見ていきましょう〉と伝え,再び右肩上げを行なった。

〈先ほどよりもゆっくり上げて見ましょう。Bさんの肩や首がどんなふうに動いていくかを私も見ていくから,Bさんも観察してみてください〉と伝えた。そして肩が内側に入っていく動きや,肩が首の方によっている様子を伝えた。Bさんは,自分の肩の動きを他者である援助者に伝え返されることに慣れていない様子であった。次に,〈今度は,今の肩が内側に入る動きが出ないように,上げていってみましょう〉と伝え,再び右肩上げ動作に取り組んだ。上げていくと僅かに内転が始まったので,〈おっと〉と手の援助と声かけで伝えると,Bさんの内転の動きが止まった。〈こっちの方向〉と援助者は肩に添えていた手でまっすぐ上のコースを示すと,Bさんは援助者の声に耳を傾け,援助者の示した手の動きを手がかりに,動きを修正していった。そこで援助者は〈うまいね! いい感じ〉と返した。動きを修正できることを他者にもわかってもらえた体験が起きた。次に,肩が首の方によっていかないように上げていく方向を示すと,これは少し難しかったらしく「うん?」と言いながら動きを止めた。〈首の方に肩が寄っていきたがるね〉〈そっちへいきたい感じ?〉と動きの様子を援助者が伝えた。Bさんは,添えられた援助者の手の援助と声かけを手がかりに,自分がどんな動きをしているかを改めて感じ取っていた。自分はまっすぐ上げているつもりが,肩を首に寄せていたのだと,自己に向き合う体験が起きたと考えられる。

一方,首に寄せていく動きを修正することは難しかった。〈ここはちょっと難しいかな。じゃあ,一旦肩を下ろそう〉と声をかけると,Bさんは肩をゆっくり下ろしていき,肩が下がったところで動きを止めた。援助者は〈もう一つおりるかな?〉とさらに肩を下ろすよう声をかけ,抜けきっていない肩を窄めるように入っている力が抜けるよう,当てていた手で少し肩幅を広げる方向を示した。するとBさんは「あー,固まってる,ここ」と右の首の付け根に自分の右手を当てた。「首が回らない」と言いながら,首を左右に傾けた。肩をもう一段下ろす動作でBさんは,首の付け根に蓄積した凝り(慢性緊張)をはっきりと感じていた。

動作課題が終わった後も,「あー,ここ」と何度も首を左に傾け凝りを感じ取っていた。きつさを感じているにもかかわらず,声にハリがあり表情はイキイキしていた。ここでは,自ら肩を動かしたことで,普段ぼんやりとしか感じられていなかった凝りの存在を実感する体験が起きたと考えられる。自分のからだの感覚を味わい,今ここにいてからだを動かしている自分を実感する体験の仕方が起きたと言える。援助者は,〈凝りは大物だね。少しでも楽になったらいいね〉と伝え終了した。

次の動作面接では,首の付け根の慢性緊張を弛める工夫に取り組んだが,かなり慢性化した凝りは,なかなか弛められなかった。その難しさを共有しながら,肩を下ろす動作で〈あ,ここで動きが止まるね〉〈なかなか抜けないねぇ〉〈ちょっと待ってみよう〉と言って待つと,ほんの僅かではあるがBさんの肩幅が広がった。〈お? 今,力抜けた?〉と伝えると「うーん」と初めての感覚にBさんは戸惑い,半信半疑な様子であった。〈少し動かしてみる?〉と促すと,首を傾けたり回しながら「(凝りは)まだある。けど,マシかな」と答えた。ここでは,援助者が言葉で動作を促し,手で動作援助する中で,凝りを減らすという意図の実現のために能動的に工夫する体験が得られた。

②他の課題動作を組み合わせながら

その後は,胡座坐位姿勢で安定して坐る体験,立位では足裏全体で床を踏み締めて安定して立つ体験をしながら,引き続き肩上げ課題に取り組んだ。そして最終的には,きつさを軽減させ安心感を得る体験がもたらされた。

③動作面接後の日常の生活の変化

「語ることはない」と言っていたBさんは,その後の面接で,自宅での過ごし方から自分の好きなYouTuberやオンラインゲームでの出会い,両親への思いや中学高校での友人関係の難しさなどを少しずつ語るようになった。「自分の考えを理解してもらえない」「生きる意味がわからないのに,進路は決められない」と訴えながらも,3年生になると大学進学も「選択肢の一つ」と考えるようになった。

5.思春期の青年への臨床動作法の有効性

1)動作体験によりもたらされたこと

Aくんは,当初自分の中に生まれた不安感や緊張感を実感し対処することが難しかった。動作課題に取り組む中で援助者によって自分に目を向けることを促され,自己に向き合い,コントロールすることを体験していった。自分の中に生まれた不安感や緊張感も現実的に対処し,自ら治めることが可能となった。

Bさんは,自分の感じ方や考え方が周囲に受け入れられず,疎外感や自己希薄感をもち物事に意欲が湧かない状態であった。動作課題に取り組む中で,自分の動きや体の感じを援助者が感じ取り明確化し,また努力の仕方を示したことにより,他者と共にある自己を感じ,ありのままの自分を受け入れ課題解決に取り組む体験を得た。安心感や自己受容感が生まれ,自分の思いを語るなど主体的能動的に外界に関わるようになった。

このように臨床動作法では,自己確実感を獲得し,自分の内界外界への関わりが現実検討的に変化し,自己を保ちながら活動することが可能となっていく(成瀬,2013)。また援助者は,動作という具体的な現象を通して,クライエントのこころの有り様を捉え,クライエントの体験を共有し,新たな体験の仕方の獲得を促すなど直接的な働きかけが可能となる。

2)臨床動作法で,思春期の青年たちに援助できること

変化し続け揺れ動く自分を抱えながら,友人,親,教師といった他者と繋がりを持ち,自分の居場所を見つけていかなければならない思春期の青年たち。その課題に取り組むためには,自己に向き合い実感する力,外界に目を向け現実検討する力,他者と繋がる力,困難さに対処していく力など多くの力が求められる。臨床動作法による援助では,思春期の青年たちが心理的な課題を乗り越え,成長発達していくために不可欠なこれらの力を,引き出し育むことが可能であるといえる。

文  献

  • 磯邊聡(2008)思春期の問題と病理.In:井上果子・神谷栄治編:ライフサイクルの臨床心理学シリーズ2思春期・青年期の臨床心理学.培風館,pp.37-61
  • 土居隆子(2019)こころの不調で,動作が不調.In:成瀬悟策編著:動作療法の治療過程.金剛出版,pp.15-29
  • 成瀬悟策監修(2013)目で見る動作法 初級編.金剛出版.
  • 成瀬悟策(2014)動作療法の展開.誠信書房.
  • 最上貴子(2005)第二次性徴と戸惑い.In:臨床心理学,5(3),金剛出版,pp.318-323
+ 記事

名前 小山真弓(おやままゆみ)
所属 成城心理オフィスぐろーいんぐ
資格 臨床動作士,臨床動作学講師,臨床心理士
専攻 臨床動作学,臨床心理学

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