本間友巳(京都教育大学名誉教授)
シンリンラボ 第35号(2026年2月号)
Clinical Psychology Laboratory, No.35 (2026, Feb.)
1995年,心理職にとって画期的な制度的動きが始まった。それは新たな職業とつながる可能性をもつ,文部省(当時)による公立学校へのスクールカウンセラー(以下,SCと略記)の派遣のスタートであった。このSC派遣は教育分野を超えて,心理職として活動する多くの人々にインパクトを与え,医師・弁護士・教師といった先発の専門職と同様,後発である心理職の社会的確立への期待や機運を高める契機ともなった。
それから30年の月日が流れた。現在,全国の大半の公立学校にSCが配置される時代が到来した(私立学校も同様)。また,SCという言葉はメディア等でもしばしば取り上げられ,学校関係者のみならず,現在では多くの人々がSCの存在を知る状況になっている。
しかしながら,この30年間で成し遂げられたさまざまな成果の一方で,現在も未完の多くの課題が残されている。また,30年前には想定していなかった展開や新たな課題も生まれている。
本特集では,異なる視点からなる6つの特集記事を通して,この30年のスクールカウンセリングの振り返りとその展望が語られる。加えて5つのコラムで,次代を担う中堅SCから見たスクールカウンセリングの現状や課題が示される。いずれの記事もコラムも読み応えのある内容になっている。
しかしながら,スクールカウンセリングが社会や学校とともに変化していく教育臨床実践である以上,いかなる言説をもってしてもSCのすべてを語り尽くすことはできない。その語りは常に問い直され更新されていく性質を内包している。
よって,以下で示される記事もコラムも30年の総括として完結した最終報告ではなく,現在の地点から見た経過の報告にすぎない。だが,これらの経過報告を通して,これまでのスクールカウンセリングへの理解が増すとともに,これからの実践へのささやかな手がかりを見いだす契機となるならば望外の喜びである。
本間 友巳(ほんま・ともみ)
京都教育大学名誉教授
資格:臨床心理士,公認心理師,博士(教育心理学)
主な著書:『いじめ臨床』(編著,ナカニシヤ出版,2008),『学校臨床』(編著,金子書房,2012),『公認心理師分野別テキスト3教育分野』(分担執筆,創元社,2019),『改訂はじめて学ぶ生徒指導・教育相談』(編著,金子書房,2024)など
趣味:テニス






