【特集 私の初回面接】#01 初回面接と単回面接|津川律子


津川律子(日本大学)

シンリンラボ 第37号(2026年4月号)
Clinical Psychology Laboratory, No.37 (2026, Apr.) 

1.インテーク面接,受理面接,初回面接 

「初回面接」という言葉でイメージするものは何だろうか。英語表記もいろいろある。initial interview,first interview,initial session,first sessionなどである。「初回」に対応する英語として「initial」か「first」が使われており,「初め」という意味があることが見てとれる。単回(single)面接と違って,「初め」なので,“続き”(2回目以降)があるような印象をもつと感じるのは,偏った感覚であろうか。

定義に関してある事典で調べた。すると,次のようであった。「インテーク面接とは,受理面接あるいは初回面接ともよばれ,クライエントに対して行われる最初の面接であり,クライエントがどのような問題を抱えているのかを把握して,それに対してどのような援助が最適であるかを判断するために行う面接をいう」(西田,2004)。やや釈然としないのは出だしの部分である。「インテーク面接」「受理面接」「初回面接」の3つが,すべて同じ扱いになっているようにみえる。

また,ある辞典によれば以下のとおりである。「来談者と最初に行う1回ないし数回にわたる面接。受理面接(application interview)または初回面接ともいわれる」(小笹,2020)。また,インテーク面接の後で「来談者にカウンセリングが可能であると判断した場合,どのような療法が最適であり,誰が治療者となるのかを決める。これは,複数の治療スタッフが在籍する機関の場合,インテーク・カンファランス(intake conference)で検討される」(同掲)とされている。つまり,「インテーク面接」と「受理面接」は,ほぼ意味が同じなのではないかと推測されるが,「インテーク面接」と「初回面接」は,意味が違ってくるのではないだろうか。

2.初回面接とは

それでは,「インテーク面接」と「初回面接」で,何が違うのだろうか。私が疑問に感じるようなことは,同業者も感じているようで,すでに伊藤(2001)や高石(2017)の論考がある。ひとつだけ引用すると次のようである。

「初回面接は,ある程度熟練したインテーカーが担当し,以後の面接は別の者が担当するか,それとも以降の面接を含めて本人が担当するかによって大きく異なる。実はインテークを受理面接と呼ぶか初回面接と呼ぶかで,すでにその構造的差異が含まれてしまっているといっても良いかもしれない」(高石,2017)。「面接者とクライエントさんが共に面接という共同作業に取り組んでいく最初の出会いであるという点を強調し,すでにそこから面接が始まっているという立場をとる。だから『初回面接』なのである」(同掲)。

このように,初回の担当者がその方を担当するという前提の面接を「初回面接」と個人的には定義したい。また,単回面接を含めて「初回面接」と定義したい。その理由は技法論ではなく,「私があなたの担当者です」という責任性(腰が据わっているかどうか)を重視したいからである。

そのうえで,字数の範囲内で,初回面接で個人的に大切にしているもののうち,数点だけを述べたい。

3.会う前から心理支援ははじまっている

単回の面接であったとしても,お会いする前から心理支援ははじまっている。わずかな情報であっても,その情報からたくさんの思いが支援者のこころの中に育まれる。決めつけではない。例えれば,寒い日に自動車のエンジンをかける前に暖気するのに近い(例えが古すぎる?)。十分に暖気した後に,実際に車を動かすとき(お会いする直前)には,また何もない白紙の状態に戻っていて,そこから,相手の舞台に招かれてゆく(「舞台」に関しては後述)。

4.初回面接で来所される時間

来所する時間だけで,多くのことが伝わってくる。1)約束の時間より大幅に早く来所,2)少し前に来所,3)信じられないほど時間ジャストに来所,4)少し遅れて来所,5)大幅に遅れて来所,などである。これら1)〜5)を読者の臨床経験をもとにイメージすると,アセスメントの仮説が立つと思う。ひとつだけ例をあげると,4)や5)を「抵抗」とだけ取らないことである。たくさんの仮説が立てられるとよいように感じている。

5.全身を感じること

施設や機関によって,来所された方がどう案内されるのかが違うので,叶わない臨床現場もあると思うが,来所された方の全身を目にできる機会があるといい。とくに,歩いている姿にふれられるといい。行動観察しているのではなく,全身を感じとりたい。たとえば,歩いている姿や表情では何ら異変を感じられないが,入室してから相談申込書に書かれた内容が「ひどい気分の落ち込み」であった場合,その落差が心理支援への大きなヒントとなる。

これに関連して,「何をもってクライエントの状態がよくなったと(支援者側が)感じるのか」に関して,私は「たたずまい」と表現し,内海は「グラチエ(Grazie/ドイツ語)」(気品)という表現を用いている(内海・津川,2025)。

6.身体の動き

現在,私が臨床を行っている機関の1つでは,面接室にソファがあり,ソファにはカバーがかかっている。カバーを導入した理由は,汚れ防止や感染症対策であったが,このカバーは思わぬ効果を生み出した。

とくに,成人の場合,普通に座って話し合っているようにしか見えないが,面接が終わって対象者が立ち上がると,カバーが小刻みによれていたり,めくれていたりする場合がある。動いているように見えないけれども,小刻みに体動があることを意味していて,アセスメントに大いに役立つことになった。

7.相手の舞台に行くこと

相手の話す内容(コンテンツ)に関心を向けるというより,喉元の気持ちに寄り添うことは多くの心理支援者が行っていることと思う。一方で,相手を自分の準拠枠(frame of reference/浜田,1981)に引き寄せてしまってアセスメントしている,といったことはないだろうか。これは真逆であって,対象者のよって立つ準拠枠に,こちらが“行く”ということが重要である。このことを,よく私は学生に「相手の土俵に行く」と例えて伝えているが,“土俵”というと,大相撲を連想しかねず,もっとよい表現を欲していた。田中(2025)がこれに近い内容を「舞台」に例えて表現しているのを聴き,“舞台”は品があると感心した。「相手の舞台にどう乗せていただけるか,僕がどうチューニングできるかにかかっていると思っている」(同掲)。

8.ギフト

お会いした方が,私のたたずまいや心理支援のやり方を気にいるか,気にいらないかは,相手次第なので,むしろ積極的に私を試してもらいたい。そして,その後に面接が続く前提であったとしても,何かお土産(ギフト)を持って帰ってほしい。ギフトの最大のものは,私が新しい対象としてそこにいることであると思う。これまで対象者が会ってきたどの人とも違う,専門家としての私である。

このギフトに加えて,ほんのちょっとしたトッピングもできれば持って帰ってほしい。このトッピングは,具体的なものである。その内容は,介入の仕方によってかなりの違いがあるが,十分なトレーニングに裏打ちされた心理アセスメントに由来する“小さな光”(希望)をギフトしたい。質の高いコンピテンシー(日本公認心理師協会,2022)がその源と思う。

「初回面接」で「舞台」に招かれたら,継続面接でも同じ舞台に居続けることができるよう,1回1回のhere and nowを大切に臨床にいそしみたい。

文  献
  • 浜田華子(1981)準拠枠.In:小川捷之編:現代のエスプリ別冊 臨床心理用語事典―用語・人名篇.至文堂,p.158. 
  • 伊藤良子(2001)初回面接の技法.臨床心理学,1 (3); 310-316.
  • 小笹 環(2020)インテーク面接.In:氏原寛ほか編:[新装版]カウンセリング辞典.ミネルヴァ書房,pp.42-43.
  • 日本公認心理師協会(2022)コンピテンシー・モデル.https://www.jacpp.or.jp/(2026年3月1日取得)
  • 西田吉男(2004)インテーク面接.In:氏原寛ほか編:[改訂版]心理臨床大事典.培風館,pp.194-196.
  • 高石浩一(2017)初回面接の方法論―心理臨床における「聴き方」.人間学研究,3; 115-124. https://kbu.repo.nii.ac.jp/records/1128(2026年3月1日取得)
  • 田中康雄(2025)対人援助の序破急.第41回日本精神衛生学会大会特別講演.未公刊.(講演者の許可を得て本原稿を執筆)
  • 内海健・津川律子(2025)心理カウンセリングに役立つ精神病理学入門.金剛出版,p.249.
+ 記事

津川律子(つがわ・りつこ)
日本大学文理学部心理学科
資格:公認心理師,臨床心理士,精神保健福祉士

目  次

コメントを書く

あなたのコメントを入力してください。
ここにあなたの名前を入力してください

過去記事

イベント案内

新着記事