【特集 心理職が出会う貧困問題】#00 貧困がもたらす心への影響と心理支援の視座|増沢 高


増沢 高(子どもの虹情報研修センター)

シンリンラボ 第43号(2026年10月号)
Clinical Psychology Laboratory, No.43 (2026, Oct.) 

子どもの貧困は,家庭の問題にとどまらず,社会的格差や孤立とも関連する構造的課題である。生活の不安定さによる慢性的ストレス,養育の余裕の低下,学習機会の格差,学力低下や進学断念など,それは子どもの育ちに多様な影響を及ぼす。また,孤立,排除,自己否定感,将来展望の喪失とも結びつきうる問題でもある。

心理臨床の場で出会う子どもたちの心理的不調や不適応の背景に,家庭内の貧困が影を落としている事例は少なくない。心理職が心理アセスメントを行う上で,貧困は重要な視点の一つであろう。しかし,それが見えてきたとき,心理職は何ができるだろうか。

この問題に対して,心理職は十分な学びを得てきたとは言い難い。現在も一部の心理職が試行錯誤しながら実践を重ねているが,その知見や認識は十分に共有されているとはいえない。今回の企画を「心理職が出会う貧困問題」としたのは,そうした背景による。

本企画では,この問題に向き合ってきた心理職による実践報告を通して,貧困が心にもたらす影響,多職種・他機関との連携による現実的支援,心理的影響への支援のあり方などについて検討する。心理職が貧困問題に向き合う際に必要となる知見や視点を共有する機会としたい。

+ 記事

増沢 高(ますざわ・たかし)
子どもの虹情報研修センター
資格:公認心理師・臨床心理士
主な著書:『虐待を受けた子どもの回復と育ちを支える援助』(単著,福村出版,2009),『ワークで学ぶ 子ども家庭支援の包括的アセスメント』(単著,明石書店,2018),『子ども虐待 保護から早期支援への転換』(監訳,明石書店,2021),『日本の児童虐待重大事件2000−2010』(共編著,福村出版,2025)
趣味:釣り

目  次

おすすめの記事

コメントを書く

あなたのコメントを入力してください。
ここにあなたの名前を入力してください

過去記事

イベント案内

新着記事